金型製作と冷間鍛造の複合的な技術を試作に活用。技術力と提案力を兼ね備えた飯塚製作所

INTERVIEW

株式会社飯塚製作所
代表取締役社長
飯塚 靖
代表取締役副社長
飯塚 智

金属で、精度と強度の高い部品を作ることができる冷間鍛造。これは、常温下で金属に金型を合わせて圧を加えることで成形する、金属加工の方法です。
奈良県大和高田市にある飯塚製作所は、冷間鍛造で部品の開発や設計、製造を行っている会社。精密さと強度を求められる車の安全部品を製造し続けてきた実績と、高い技術力を誇ります。
今回は、代表取締役社長の飯塚靖氏と代表取締役副社長の飯塚智氏に飯塚製作所の技術や提案力について話を伺いました。

金型製作や工程設計ができる提案力と技術力を持つ飯塚製作所

飯塚製作所 外観
飯塚製作所 外観


1964年に創業した飯塚製作所は、冷間鍛造の高い技術を生かして、エアバックやシートベルトなどの自動車安全部品を中心に、ボイラーや工作機器の部品なども製造しています。

奈良県大和高田市にある本社のほかに、奈良県奈良市と鹿児島県姶良市にも工場を構えています。どちらの工場にも、金型製作から冷間鍛造での部品製造までできる機械と人材を完備。片方の工場で災害やトラブルなどが起こっても、問題なく製品を提供し続けられるように、BCP(Business Continuity Plan、事業継続計画)の観点も大切にしながら日々製造に取り組んでいます。


金型の設計から量産までを自社で一気通貫

冷間鍛造は、目的の形状に至るまでのプロセスが非常に重要です。どのように工程を設計するかが、その後の製造効率や製品の精度に大きく影響してきます。そのため、金型製作から工程設計、量産まで全てを自社で行えるのは大きな強みです。社内に開発や金型設計、工程設計をできるスタッフがいるので、最適な形で製造できるようにご提案しています。

金型を内製化

冷間鍛造の金型は、金型専門の工場に依頼している企業が大半です。しかし、同社は、金型製作の機械を完備し、20年以上前から自社金型での社内加工に取り組んでいます。
金型を内製化するメリットは、スピーディーに、より安く製作ができること。加えて本来であれば冷間鍛造できない材質でも自社設計の金型による鍛造方法の模索により鍛造可能形状に近づけることができます。
そして自社のみで材料から完成品までにこぎつけるができるので、昨今業界で叫ばれている守秘情報である製造方法、図面等が他方に流出しないことが一番の強みになります。
また、冷間鍛造で量産する場合、金型が長く持つように改良していく必要がありますが、同社は社内でできるので、スピードのある対応が可能です。

低コスト製造のための提案力

同社では、冷間鍛造とプレス、切削加工を活用することで、より効率よく、低価格での製造を実現しています。例えば、もともと3〜4ピースに分かれていた部品を一体化させて1つの部品にしたり、プレス加工を挟んで1ショットで複数個の部品が取れるように設計したりすることでコストダウン。競争力の高い商品をご提供できる方法をご提案しています。

幅広い材質の加工が可能

同社では、鉄やステンレス、アルミなど、さまざまな材質を加工することができます。
全国的にも珍しい合金鋼のインコネル(R)の冷間鍛造の実績もあります。


「冷間鍛造」と「熱間鍛造」の違いとは

冷間鍛造用機械
冷間鍛造用機械


「鍛造」とは、金属の加工法の一種。金属を叩いて圧力を加えることで、目的の形状に成型することを言います。
「冷間鍛造」は、常温下で金属材料に熱を加えずに圧力を加え、成形していく技術です。常温で加工するため、精度が高く、面粗度が高く(表面がきれいに)仕上がるのが特徴です。また、切削加工と比べると、金属の組織を切らずに変形させるため強度が強く、ロスが少ないので歩留まりがいいのがメリットです。

冷間鍛造に対して、再結晶温度以上である1,100℃ ~1,250℃の高温で材料を加熱して行う鍛造を「熱間鍛造」と言います。加熱により金属材料が柔軟になった状態で加工するため、複雑な形状や大型部品の製造を行うことが可能です。しかし、変形後に冷却されて固まるため、精度が出づらく、表面も粗くなります。


【冷間鍛造と熱間鍛造の違い】

項目 冷間鍛造 熱間鍛造
鍛造温度 常温(室温) 1,100℃〜1,250℃
成型時の圧力 大きな圧力が必要 比較的小さな圧力で良い
精度 高い やや低い
表面の仕上がり 細かい 粗い
加工の難易度 難しい 比較的やさしい
適するサイズ 小さいものに適している 大きいものも可能
生産数量 大量生産向き 中量・少量生産向き

 

冷間鍛造技術と金型製作の技術を生かした試作品作り

金型製作の様子
金型製作の様子


同社の金型製作の技術は、試作品作りにも適しています。

「弊社では金型を硬い材質を削って作っているため、たいていの金属の加工が可能です。また、金型の製作には精度が求められるので、その技術を活用することで、試作品を作る際にも精度高く作ることができます」と飯塚靖氏は語ります。


金型製作の機械
金型製作の機械


同社は、NC工作機械とマニシングセンタを保有。5軸加工機も2台あるため、複雑な形状でも製造が可能です。さらに、切削加工と冷間鍛造を組み合わせて試作品を作ることができるのが、同社の大きなメリットです。

ベースになる部分を、簡易の金型を使って冷間鍛造で製造し、残りは切削加工で仕上げれば、全部を切削加工で仕上げるよりもスピーディーに、安価でできる場合があります。

「試作品が1〜2個で良ければ、全部切削加工した方が早いと思います。その場合も、もちろん弊社で対応可能です。しかし、評価用のように、50個や100個も必要になる場合は、全部切削加工で作っていると時間もコストもかかってしまいます。その場合は、冷間鍛造も組み合わせた方が早く仕上がり、金額的にもメリットが出るのではないでしょうか。弊社は、切削加工も冷間鍛造も対応できるので、より安く、スピーディーに仕上がる方法をご提案できます」と飯塚靖氏。

また、量産の経験が豊かな同社だからこそ、試作の段階から量産化に向けた提案もできます。

「大量生産を見据えた製品であれば、ぜひ試作段階から関わらせていただきたいですね。そうすることで、ご要望の機能を満たしつつ、大量生産時により製造効率良く作れるような開発・設計をご提案することができます。」

自社で金型を製作し、大量生産にも対応してきたノウハウを持つ飯塚製作所だからこそ、先を見据えた試作品作りが可能なのです。


真似しない。あきらめない。「飯塚イズム」を胸に、競争力のある製品を作り続ける

代表取締役副社長 飯塚智氏(左)、代表取締役社長 飯塚靖氏(右)
代表取締役副社長 飯塚智氏(左)、代表取締役社長 飯塚靖氏(右)


金型の内製化や、切削加工と冷間鍛造を組み合わせた製品作りなど、常に新しいことにチャレンジしてきた飯塚製作所。同社のものづくりへの姿勢について、飯塚靖氏に伺いました。

「弊社のモットーは他社の真似はしないこと。そして、難易度の高い仕事も決してあきらめないことです。そのため、他社で『対応できない』と言われた部品の製造が持ち込まれることもあります。

冷間鍛造は、ある程度形にはできても、安定して量産ができるところまで詰めていくのが非常に難しい。大変苦労するところですが、そこを最後までやり遂げるのが『飯塚イズム』です。他社と同じような製品を作っていたとしても、そのプロセスに関しては、他社とは絶対に違う独自性があると自信を持っています」

数多くの経験で培った技術力・提案力をもとに、競争力のある製品を製造し続ける飯塚製作所。試作からぜひ相談してみてください。



参考情報
・インコネルは、ハンティントン アロイズ コーポレイションの登録商標です。

株式会社飯塚製作所
奈良県大和高田市に本社を持つ、冷間鍛造で部品の開発や設計、製造を行う企業。本社工場のほか、奈良県と鹿児島県に工場を持つ。自動車の安全部品を中心に製造するほか、冷間鍛造による試作品や小ロット生産も請け負う。
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