高耐久性塗料でインフラ設備の長寿命化を実現 ステンレスフレーク含有塗料「ステンシェル(R)」の実力

高度成長期から半世紀が過ぎ、国内インフラ設備の老朽化が社会問題になっている現在。次世代に向けた維持管理や修繕費の抑制、長寿命化の問題解決として、塗料にもこだわってみませんか。

東洋アルミニウム株式会社は、高耐久性塗料「ステンシェル(R)」を開発・販売しています。創業以来90年以上にわたってアルミニウム関連製品の開発・製造を行ってきた同社は、これまでのノウハウを活かしながらも、アルミメーカーの枠を超えた今までにない製品開発に取り組んでいます。

高耐久性塗料「ステンシェル(R)」はフレーク状のステンレスを含有させることで、高い耐久性と防食性能を実現しており、国内で導入事例が広がっています。今回は新事業創造部の玉寄長治(たまより・ちょうじ)氏、髙根喜一郎(たかね・きいちろう)氏、古城和夫(ふるじょう・かずお)氏に、「ステンシェル(R)」の魅力と可能性についてお聞きしました。

耐久性・耐食性に優れる、強靭なステンレスフレーク含有塗料

「ステンシェル(R)」は、高品質のステンレス(SUS316L)を樹脂に配合したハイブリッド塗料です。海塩粒子・紫外線(反射)・傷・摩耗・引っ張りに強いステンレスと、樹脂を組み合わせることで、さまざまな因子から素材を守り続けることができます。

左から、古城和夫氏、髙根喜一郎氏、玉寄長治氏
左から、古城和夫氏、髙根喜一郎氏、玉寄長治氏


ポイントは含有するステンレスにあります。厚さ0.3mmのフレーク状に加工したステンレスが幾層にも重なり合い、頑丈なアワビの貝殻のように、多重構造が樹脂の中に形成されます。これが腐食因子の侵入をバリアする塗膜となり、高い耐久性を実現しているのです。

 

従来の塗料 ステンレスフレーク含有塗料

従来の塗料とステンレスフレーク含有塗料との比較(提供:東洋アルミニウム株式会社)

 

ステンレスフレークの製造は、国内では東洋アルミ唯一の技術です。

 

さびを長期にわたって抑制。「ステンシェル(R)」の特徴と導入のメリット

ステンシェル(R)の強みは、こうした製法からなる耐久性と防食性の高さです。腐食を防ぐ主な手段としては溶融亜鉛めっきが挙げられますが、沿岸地域や温泉地ではさびが発生しやすいのです。一方、下図のように「ステンシェル(R)」を塗装したボルトは、ステンレスと樹脂の組み合わせによって海塩粒子や化学物質による腐食を長期間にわたって抑制しています。

複合サイクル試験(JIS K 5600-7-9)の結果(提供:東洋アルミニウム株式会社)
複合サイクル試験(JIS K 5600-7-9)の結果(提供:東洋アルミニウム株式会社)


防さびを謳う塗料は多々ありますが、「さまざまなさび止め塗料を試したけれど、どれも満足できなかった」という顧客からも、「ステンシェル(R)」はこれまでとは違う手応えがあるとの声を受けているといいます。
「ステンシェル(R)」を導入することでライフサイクルコストを低減することが期待できます。以下のモデル図では、施工費が約30年間で半額以下に抑えられると試算されています。「ステンシェル(R)」は一般塗料に比べると高額ですが、長期間にわたって腐食が起こりにくくなるためメンテナンスの回数が少なくなり、将来的にライフサイクルコストを縮減することが期待できます。

ライフサイクルコストの比較
ライフサイクルコストの比較


また、「ステンシェル(R)」は、一般的な塗料と同じようにスプレーやハケ・ローラーで塗装でき、特別な道具は必要ありません。カラー展開が豊富で、屋内外の構造物・工業製品、金属類に限らず幅広い用途に採用できるのもメリットです。


広がる「ステンシェル(R)」の活用事例

こうした特性から、「ステンシェル(R)」は水圧鉄管・鉄骨・ボルトなどのさびが発生しやすいパーツや、橋梁・鉄道桁・プラント・キュービクル(キュービクル式高圧受電設備)といった頻繁なメンテナンスが難しい施設など、幅広い用途で防食性と耐久性を高めるために有効です。実際の導入例をいくつかご紹介します。

箱根ガラスの森美術館は、近隣にある大涌谷の火山性ガスの影響で施設の腐食が進みやすく、これまでは2年に1回のペースで屋根の塗り替えを実施していました。2014年にキャノピーの屋根に「ステンシェル(R)」を塗布したところ、7年が経過した現在も、さびは発生していないといいます。屋根の塗り替えには足場を設置する必要があり、メンテナンス中は施設を休業する必要があります。その間に来客が減少することによる損失も考慮すると、塗料代以上のリターンを得られているといえるでしょう。


箱根ガラスの森美術館(提供:東洋アルミニウム株式会社)
箱根ガラスの森美術館(提供:東洋アルミニウム株式会社)


施行前 施行後

箱根ガラスの森美術館施設内の屋根(提供:東洋アルミニウム株式会社)

 

「ステンシェル(R)」は沿岸地域など、塩害に悩まされる環境で特に強みを発揮します。かんでんエンジニアリング福崎事業所では、海岸沿いに設置されたキュービクルに「ステンシェル(R)」を使用しています。

 

かんでんエンジニアリング福崎事業所のキュービクル(提供:東洋アルミニウム株式会社)
かんでんエンジニアリング福崎事業所のキュービクル(提供:東洋アルミニウム株式会社)


東洋アルミニウムは琉球大学と共同研究を実施しており、2020年から沖縄地域での実証実験を進めています。海に囲まれている沖縄は本土の約10倍さびによる腐食が進みやすく、強風や台風に見舞われる厳しい環境です。コンクリート製の建物へも「ステンシェル(R)」を塗装することで、耐久性の向上が期待できます。

今後は、道路や鉄塔をはじめとする頻繁にメンテナンスをすることが難しいインフラ設備への導入をさらに進めていきたいとのことです。

また、東洋アルミニウムでは、塗料だけでなく「ステンシェル(R)」を塗装したボルト(「ステンシェル(R)ボルト」)も販売しています。溶融亜鉛めっきを施したボルトへ特殊化成皮膜とステンシェル(R)被膜を重ねることで耐食性が飛躍的に高まります。

ステンシェル(R)ボルト(提供:東洋アルミニウム株式会社)
ステンシェル(R)ボルト(提供:東洋アルミニウム株式会社)


溶融亜鉛めっきのボルトは沿岸地域では腐食が進みやすい一方、ステンレスのボルトはコストの高さがネックです。「ステンシェル(R)ボルト」は耐久性とコストパフォーマンスの両立に成功しているといえます。構造物の腐食はボルトなどの締結部分から進むことが多いため、特に耐久性を重視したいパーツです。さびの悩みを軽減するために、手始めにボルトから見直してみるのもよいでしょう。

ステンシェル(R)ボルト(提供:東洋アルミニウム株式会社)
ステンシェル(R)ボルト(提供:東洋アルミニウム株式会社)


インフラの老朽問題に塗料で向き合う

「ステンシェル(R)」の導入しやすさと優れた耐久性は、社会貢献にもつながります。日本では高度成長期に整備された社会インフラの老朽化が進んでおり、メンテナンス費用の増大が社会問題になっています。ライフサイクルコストを縮減が求められるなかで、長期間にわたって素材を守る「ステンシェル(R)」はインフラ設備の長寿命化に寄与することができ、塗り替えの回数を低減できることで塗装職人の人材減少にも対応できます。「ステンシェル(R)」は国土交通省が運営する新技術情報提供システム「NETIS」にも登録済みです(登録番号KKK-170005)。


「ステンシェル(R)」導入までの流れは以下の通りです。

導入までの流れ
導入までの流れ


大型施設への塗料提供だけでなく、ボルトや金属部品等の塗装にも対応しているとのこと。この記事でご興味を持った方は、ぜひ一度問い合わせてみてはいかがでしょうか。



参考情報
・ステンシェルは、東洋アルミニウム株式会社の登録商標です。

東洋アルミニウム株式会社
アルミニウム製品の製造・販売を主要事業とするメーカー。前身は1931年に創業、アルミニウム箔やアルミニウム板・アルミニウムペーストなど、創業以来90年にわたってアルミニウムの可能性を追求している。また、近年は日用品やフィルムなど、アルミニウムメーカーの枠を超えた今までにない製品開発に取り組んでいる。さび止め塗料「ステンシェル(R)」は新事業の一つとして、2016年から販売を開始した。
ステンシェル(R) ステンシェル(R)紹介動画