技術の研鑽と充実した製造体制で顧客のリクエストに応える。土佐電子の「鉛フリーはんだ」による電子基盤の組み立て

INTERVIEW

株式会社土佐電子
経営統括室室長
西村 元宏
製造部長
中平 太

微細な部品を正確に取り付けていくことが求められる、電子回路基板の組み立て。一般的な家電から産業機器まで幅広く使われている電子回路基板は、製品の品質や信頼性に大きく関わるため、その組み立てには高度な技術が求められます。
1983年に基板加工工場として創業した株式会社土佐電子は、長年培ってきたはんだによるアッセンブリ技術に定評がある会社です。今回は、株式会社土佐電子の経営統括室室長である西村元宏氏と製造部長の中平太氏に、土佐電子における鉛フリーはんだ技術の特徴やポイントなどを伺いました。

幅広い要望に応えられる技術と設備を持った土佐電子

土佐電子は、電子部品や電子回路基板の加工・検査・組み立て、液晶表示機器の組み立て・検査、制御盤や配電盤の設計・制作・据付、ロボットの製作及びロボット部品の製造などを行っている会社です。本社と本社工場を高知県土佐市に構え、開発製造できる施設を四国島内に5カ所、ベトナムにも工場を1カ所所有。毎月、さまざまな業種の企業約30社と取引し、幅広い要望に応え続けています。


株式会社土佐電子 経営統括室室長 西村元宏氏(左)、製造部長の中平太氏(右)
株式会社土佐電子 経営統括室室長 西村元宏氏(左)、製造部長の中平太氏(右)


高いはんだ付け技術

土佐電子では、マイクロソルダリング技術の教育・資格制度を取り入れています。「マイクロソルダリング技術」とは、数cm、あるいは数mmの部品をもはんだ付けする技術のことです。その認定試験を受けて合格した、はんだ付け作業を行う上での基礎的な知識と十分な実務経験を持つ者が、他のスタッフを指導。そうすることで、はんだ工程に関わるスタッフ全体の技術力を底上げしています。

実装工程に窒素発生装置を導入

チップなどを製品に実装していく際、窒素発生装置を使用することで、はんだのぬれ性が良くなるため、見た目や浸透性などが向上します。

複数の事業部があり、フレキシブルな対応が可能

高知市内に4カ所、徳島市内に1カ所、工場を併設した事業部を設置しています。事業部間の人員や設備の移動が可能なため、製造数などに応じて臨機応変に体制を組むことが可能です。無理な体制での製造は不具合の原因にもなるため、必要に応じた人員を移動させることで、丁寧な製品づくりに取り組んでいます。


融点や成分から見る「共晶はんだ」と「鉛フリーはんだ」の違い

はんだ付けには、「共晶はんだ(鉛はんだ)」と「鉛フリーはんだ」があります。
はんだは、鉛が入っている方がぬれ広がりがよく、加工もしやすいため、信頼性が高い仕上がりになります。そのため、以前は共晶はんだ(鉛はんだ)が一般的でしたが、現在は鉛フリーはんだが主流になってきています。鉛入りのはんだを使った電気機器や電子機器が廃棄され、そこに酸性雨が降りかかると、鉛の成分が雨に溶け出してしまい、環境汚染につながります。そのため、2006年に欧州連合で6つの有害物質(鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、ポリ臭化ビフェニル(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE))の電気機器や電子機器への使用を禁止。欧州への輸出製品も対象になることもあり、日本でも鉛フリーはんだが使われるようになっていきました。


共晶はんだと鉛フリーはんだには、以下のような違いがあります。

共晶はんだ(鉛はんだ) 鉛フリーはんだ
組成 錫(60%)、鉛(40%) 錫(96.5%)、銀(3%)、銅(0.5%)
融点 約183℃ 約217℃
基板へのなじみ 良い 良くない
使われている機器 飛行機や電車など、信頼性の高さが求められる一部のもの 電子部品や家電製品など一般的な製品

 

共晶はんだと鉛フリーはんだの表面の違い
共晶はんだと鉛フリーはんだの表面の違い


鉛フリーはんだは、融点が共晶はんだより約30~40℃も高いため、温度のコントロールが非常に難しく、高い技術を要します。共晶はんだなら3秒程度の加熱で綺麗に取り付けられるものも、鉛フリーはんだで同じ時間熱すると、温度が高くなりすぎて基板や部品が壊れる原因になることも。しかし、温度が低いとはんだがうまく浸透せず、一見きちんと取り付けられたように見えても部品の付きが悪いこともあります。付きが悪くなると、電気の流れる部分が腐食して外れやすくなるなどのトラブルにもつながるため、加減が難しいのです。

土佐電子では、産業機械のように長期間使うことが想定される機器には、成分が「錫(94.5%)、銀(5%)、銅(0.5%)」のはんだを使用しています。これは、銀が含まれることで、融点が下がって扱いやすくなり、信頼性が高まるからです。家電などの一般的な製品に使用するものに関しては、成分が「錫(99.25%)、銅(0.7%)、ニッケル(0.05%)」のはんだを使用するなど、製品によってはんだを使い分けています。


高い技術力と厳重な品質チェックで、信頼できる製品づくりを

工場での作業風景
工場での作業風景


鉛フリーはんだは、扱いが難しいものですが、土佐電子にはそれに対応できる高い技術力と、品質を担保する厳重なチェック機能を備えています。

カメラと人の目による二重チェックで品質を管理

目視で品質チェックをしている様子
目視で品質チェックをしている様子


土佐電子では、製造の工程で徹底的に品質チェックを行っています。機械ではんだ付けを行う場合は、2Dと3Dのカメラを使用し、組み立てる全箇所をチェックしています。さらに、組み上がったものは、人が目視で全体をチェック。カメラでは判断しづらい基板全体に目を配り、不具合がないかを確認しています。

複雑な基板の組み立ても、1枚から対応が可能

手作業ではんだ付けをしている様子
手作業ではんだ付けをしている様子


数百の部品がある基板を組み立てる場合、部品の取り違えなどを防ぐため、機械を使用してはんだ付けするのが一般的ですが、その都度版を製作する必要がありどうしてもコストが高くなります。
しかし、土佐電子では、部品が数百に及んだ複雑なものだとしても、人の手ではんだ付けすることができます。手作業でのはんだ付けであれば、機械を動かすよりは低価格でできることが多いため、試作などにもぴったりです。

微細な部品の取り付けも可能

土佐電子は、顕微鏡を使用するような非常に微細な部品のはんだ付けにも対応しています。その一つが、「リワーク」という作業です。これは、製品の仕様変更により、現在取り付けられている電子部品の一部を外して新たな部品に付け替えるもの。顕微鏡を使用しながらの作業になるため、非常に難易度が高い作業になります。また、古い部品を取り外す際には、接合剤であるはんだを溶かさなければなりませんが、その熱が高すぎると基板や他の部品を壊してしまい、不具合の原因になることも。そのため、時には「他の会社に依頼したが断られた」といった依頼が持ち込まれることもあるのだとか。このことからも、土佐電子の高い技術力がよくわかります。

「部品の両端に、0.4Φのリード線を付ける作業を依頼されたことがあるのですが、2カ月ほど練習した上で、顕微鏡で見ながら左右両手を使い、片側ずつにはんだ付けをしました。」と語る西村氏。顧客からの難しいオーダーにも、着実に応えています。


両手を使ってはんだ付け作業をする様子
両手を使ってはんだ付け作業をする様子


創業当時から変わらぬ土佐電子のものづくりへの姿勢

細やかで丁寧なものづくりを行っている土佐電子。同社のものづくりへの思いは、どのようなものでしょうか。西村氏に伺いました。

「弊社のものづくりのへの姿勢は、創業当時から一貫して『良いものを、早く、安く』です。この姿勢を全社で共有し、同じ考えで全員がものづくりに取り組んでいます。また、これを実現するために、社員へしっかりとした教育や指導を実施。良いものを効率的に作ることができる土台づくりに力を入れています。あわせて、どうすればより良い製品を、より効率よくつくることができるか、お客様へご提案も行っています」


まとめ

高度な技術を要する鉛フリーはんだ。微細な部品のはんだ付けから複雑なアッセンブリまで、幅広い製品づくりに対応できる技術はどこにでもあるわけではありません。電子部品や基板の製造をご検討中の方は、ぜひ土佐電子をチェックしてみてください。


株式会社土佐電子
高知県土佐市に本社を構える電子機器製造会社。電子部品や電子回路基板の加工・検査・組み立て、液晶表示機器の組み立て・検査、制御盤や配電盤の設計・制作・据付、ロボットの製作及びロボット部品の製造などを行う。
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