めっき鋼板「ZAM(R)」から高い意匠性と放熱性を兼ね備え幅広い用途で活躍する「黒ZAM(R)」が登場

多種多様なめっき鋼板の中でも、優れた耐食性・加工性を持つめっき鋼板「ZAM(R)」。日鉄日新製鋼株式会社では、多彩なバリエーションのZAM(R)を提供しています。この記事では、ZAM(R)の中でも高い意匠性を持ち、建築業界から自動車、家電まで幅広い用途での活用が期待される「黒ZAM(R)」をご紹介します。

※「ZAM」(登録商標第4637134号)及び「黒ZAM」(登録商標第5927950号)は、日鉄日新製鋼株式会社の登録商標です。
「ZAM」及び「黒ZAM」は、日鉄日新製鋼株式会社が開発した高耐食性溶融めっき鋼板の商品名です。

 

ZAM(R)の特徴はそのままに意匠性を備えた黒ZAM(R)の実力

日鉄日新製鋼株式会社は、ZAM(R)の表面を黒色化処理することで、ZAM(R)と同等の性能を保持し、黒色意匠性も備えた「黒ZAM(R)」を提供しています。

<図1> 黒ZAM(R)の構造   
(出典:日鉄日新製鋼㈱ Webサイト抜粋)

黒ZAM(R)の特徴は、大きく5つあります。

 

①黒色意匠性
めっき層を黒色化することで、黒色の外観を持たせています。めっき層自体が黒いので、塗装にはない金属ならではの風合いがあります。

 

②耐疵付き性(加工部の黒色外観維持)
めっき層を黒色化することで、塗装と比較して表面が疵付きにくく、加工時の金型かじり起因の白化を抑制できます。

 

<図2>黒ZAM(R)と薄膜黒塗装ZAM(R)の高加工部白化の比較
<図2>黒ZAM(R)と薄膜黒塗装ZAM(R)の高加工部白化の比較

 

③耐食性
従来のZAM(R)と同等の耐赤錆性を有します。

 

④吸放熱特性
黒色外観であることにより、他のめっき鋼板に比べて良い吸放熱特性を有します。下のグラフは測定容器3面に評価用鋼板を貼付けた測定容器(SUS製)内でヒーターを加熱し、容器内部温度を測温したデータです。通常ZAM(R)と比較して、吸放熱性が高いことが分かります。

 

<図3>評価用鋼板を貼付けた容器内部温度の比較
<図3>評価用鋼板を貼付けた容器内部温度の比較

 

⑤環境適合性
クロム、有機溶剤を全く含まない、環境にやさしい製品となっています。また、お客様でのめっきや塗装工程が省略できることで、廃液処理等お客様の工場の環境負荷も軽減できます。

 

 

建築業界から自動車、家電まで幅広い用途で活用される黒ZAM(R)

黒ZAM(R)は、その高い意匠性から、建築業界で活躍しています。

<写真1>建築業界での黒ZAM(R)採用用途例(左から天井ルーバー、ダクトチャンバー、空調ダクト)
<写真1>建築業界での黒ZAM(R)採用用途例(左から天井ルーバー、ダクトチャンバー、空調ダクト)

黒ZAM(R)は、天井ルーバーや、空調ダクト、ダクトチャンバーなどの建築内装材に採用されています。レストランや展示場などで各種部材がむき出しになっていることがあります。これらの部材は、他の内装に比べて目につきにくいこともあり、従来はこういった部材に意匠性を持たせようという動きはあまりありませんでした。しかし最近では、天井ルーバーなどの建築内装に利用される部材を黒色にして、意匠性を持たせるケースが増加しています。そのようなケースで、黒ZAM(R)が活躍しています。


<図4>黒ZAM(R)を用いた天井埋込式換気扇、コンロ部材、モーターケース(試作品)
<図4>黒ZAM(R)を用いた天井埋込式換気扇、コンロ部材、モーターケース(試作品)


他にも天井埋め込み式換気扇、コンロなどの用途で採用された実績があります。自動車や家電製品の自動化・電動化に伴い、需要が増えるモーターは駆動時に発熱するため、そのケース材には放熱性が求められる場合があります。

また、写真のように深絞り加工で製造されるような形状のケースの場合は、高い加工性も求められます。
黒ZAM(R)の板厚は0.4mm~2.3mmで製造可能です。従来のプレコート鋼板では製造が難しかった2.3mmまでの製造を行っているため、より幅広い用途への適応が可能です。

黒ZAM(R)は放熱性と加工性を兼ね備えているため、後塗装から代替されるケースに適しています。


塗装工程の省略によりトータルコストやリードタイムを短縮

黒ZAM(R)採用メリットは、高い意匠性の獲得、トータルコスト低減、リードタイム短縮の3点です。
前述の通り、黒ZAM(R)はめっき層を黒色化しているため、部材に高い意匠性を持たせることができます。また、通常、部材を黒色化する場合には塗装剤を使用しますが、これを黒ZAM(R)に切り替えることで、塗装工程を省略することが可能です。


<図5>塗装された製品を納める場合
<図5>塗装された製品を納める場合

塗装された製品を納入する場合、加工工程の後に塗装工程が続くので、塗装費用、塗装のリードタイムが膨らんでしまいます。外注塗装が必要となるケースが多いので、その分輸送費もかかります。



<図6>現場で塗装される場合
<図6>現場で塗装される場合

また、ダクトなど、施工現場で手塗りする必要がある場合は、工事期間の終盤でより納期がタイトとなることが多い中、養生・足場組みといった複数工程を必要とする作業となります。



黒ZAM(R)を利用することで、後塗装や外注塗装などの塗装工程を省略することができるため、塗装費用・リードタイム共に削減が可能となります。その他にも、高所作業による作業時の危険低減や、溶剤系の塗料を使用しないことによる職場環境の改善も実現できるケースもあるでしょう。意匠性を持たせつつ、トータルコスト低減とリードタイム短縮を実現できるのは、黒ZAM(R)ならではですね。


黒ZAM(R)の加工と使用要件

黒ZAM(R)の加工

①接合
黒ZAM(R)の接合方法としては、かしめ接合やアーク溶接が可能です。
溶接の場合は溶接機や継手形状、溶接条件等の影響を受けるため、事前に確認テスト等を実施する必要があります。日鉄日新製鋼では、溶接条件等についても相談を受け付けています。

 

②補修
黒ZAM(R)の補修を行う際には、メーカー推奨の黒色の色味にあった補修塗料があります。

 

<写真2>かしめ接合(TOX) 
<図7>かしめ接合の断面形状
<写真3>アーク溶接(左:補修なし、右補修あり)
<写真3>アーク溶接(左:補修なし、右補修あり)

黒ZAM(R)の使用に適した要件

黒ZAM(R)は屋外で使用すると白色の腐食生成物が発生し、外観を損ねる場合があるため、屋内環境での使用が推奨されています。

<写真4>穴あけ加工部(屋外暴露後)
<写真4>穴あけ加工部(屋外暴露後)


おわりに

この記事では、ZAM(R)の多彩なバリエーションと、その中で高い意匠性を持つ黒ZAM(R)の特徴や用途例を中心にご紹介しました。黒ZAM(R)は、建築業界を中心に大きな活用ポテンシャルを秘めています。意匠性や塗装コスト、リードタイムなどでお悩みの方は、日鉄日新鉄鋼株式会社に相談をしてみてはいかがでしょうか。

(写真・資料提供:日鉄日新製鋼㈱)

 

日鉄日新製鋼株式会社
表面処理製品・特殊鋼製品などの薄板部門に特化したメーカー。表面処理の分野では、明治末の創業当初から亜鉛鉄板の製造を行うなど、長い伝統を誇る。当社が開発したガスワイピング(YG)法によって製造される亜鉛めっき鋼板、アルミめっき鋼板は、優れた耐食性と美麗な表面肌により高く評価される。近年では21世紀を担う新めっき鋼板「亜鉛―アルミ―マグネシウム溶融めっき鋼板 ZAM(R)」の開発など、製品のレパートリーは一層の拡がりをみせている。特殊鋼の分野でも、素材から一貫した品質管理の下で生産しており、高精度な生産体制の実現に努めている。
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