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鉄やアルミ合金などの金属材料の鋳造法として広く使われている「ダイカスト法」。この加工法は、複雑な形状の製品をひとつの工程で量産し生産コストを削減できる等の長所がある一方、加工品の精度を落とす「気泡巻き込み」や「引け巣」の欠陥が生じうるという短所もあります。今回はその欠陥を減らす方法の一つとして、アルミニウムの「半凝固状態」に着目し、「半凝固ダイカスト法」を開発しているHGプレシジョンに話を伺いました。
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人をアシストする人間支援ロボットには色んなタイプがありますが、平田教授の研究チームが注目したのは、「人の力をいかにうまく使って足りない機能を助けてあげるのか」という技術だといいます。今回は、引き続き東北大学の平田教授に、永守賞を受賞したパッシブブレーキと回生ブレーキの組み合わせによる「足漕ぎ車椅子ロボット」や、ファントムセンセーションを利用した「振動モーター」など人間支援ロボットへの応用事例について伺いました。
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2020年10月21~23日にグランキューブ大阪で「計測展2020 OSAKA」が開催されました。本展示会は、2年に1回大阪で秋に開催されてきた展示会で、コロナ禍の展示会に相応しくオンラインとオフラインを組み合わせた展示を行なっていました。今回は、各社独自の技術で廃棄プラスチックやパン、匂いの種類などを識別する計測システムや緩みにくいボルトの仕組みについてご紹介します。
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「ロボティクスというのは、出口戦略が重要で、何か人間の役に立たないと単におもちゃを作ったことになってしまう」という平田教授。今回は、引き続き東北大学の平田教授に、ブレーキによってロボットの運動特性を変化させる「パッシブブレーキ」技術が、災害地などの陸上、漁業が行われる水中、私たちの生活場などで役立つ仕組みについてお伺いしました。
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2020年10月14~16日に、幕張メッセで「第3回 医療と介護の総合展 [東京](メディカル ジャパン)」が開催されました。感染対策が講じられた中、実際的・具体的な製品や技術も多く、患者さんや家族、医療介護関係者の問題解決のための多種多様な出展された大規模な展示会。今回は、トイレ支援補助機器や見守りセンサーなど介護用機器のほか、医療現場で使うスマートグラスや乳がん治療に役立つ磁気ナノ粒子を利用した診断技術・装置についてご紹介いたします。
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時計に使われる精密部品から船舶に使われる数メートルのシャフトまで、様々な金属の機械部品を作る時使用する旋盤加工。機械部品の加工品質を高めるには、ターニングセンタなどの工作機械の使用以外にも、それを使いこなす技術者の腕も欠かせない要素だといいます。今回は、農業機械や建機など大型機械部品の旋盤加工を得意とし、社員数の2/3が勤続15年以上のベテラン技術者で構成されている高須工業株式会社に、当社がもつ大型・薄物部品の旋盤加工技術の特徴や、品質第一へのこだわりについて伺いました。
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2020年10月20日~21日に神戸国際展示場で「エンジンフォーラム神戸」が開催されました。本展示会は、航空エンジンや産業用ガスタービンエンジン等に特化した国際的な展示商談会で、日本での開催は初めてです。コロナ禍とはいえ海外からの参加社や団体も多く見受けられ、さらに大手企業と国内の他産業とのマッチングなども盛んに行われていたようです。今回は、航空機関連のものづくり技術と各地の航空機クラスターの様子についてご紹介します。
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人と協調して作業を行うロボットを設計する方法は色々ありますが、モーター等で能動的に駆動されるのではなく、ロボットに加えられる外力に対して受動的(パッシブ)に動くように設計しようとする「パッシブロボティクス」という概念があります。本連載では3回にわたり、「パッシブロボティクス」に基づいた非駆動型ロボットを研究し人を支援しようとする、東北大学ロボティクス専攻知能機械デザイン学分野の平田泰久教授に、研究テーマとその応用事例についてお話を伺いました。今回は、主に「パッシブロボティクス」の概念についてお話を伺いました。
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2020年10月7~9日にインテックス大阪で「関西ものづくりワールド2020」、「第8回関西高機能素材Week」が開催されました。コロナ禍の影響が大きく前回の出展社数の約半分の規模になったというものの、関西圏を中心に出展社も戻りつつあるようで、遠隔ではなくやはりリアルな展示会の重要性が再認識されているようです。今回は、ロストワックス精密鋳造によるさまざまな加工事例のほか、家庭向け植物工場、紫外線照射による減菌装置についてご紹介します。
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半導体は今や100億個のトランジスタを集積する時代になり、もはやこの複雑な一連の設計作業は人手に負えなくなった背景のもと、半導体を自動設計するためのソフトウェアを提供する「EDAツールベンダー」が登場しました。また、こうした設計専門会社が生まれたことで、半導体製造専門の「ファウンドリ」が誕生します。今回は、「EDAツールベンダー」が台頭した背景やその成長戦略、台湾の「ファウンドリ」事業が日本を逆転するまで強くなった理由をご紹介します。
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実験中に偶然、高い耐破断性をもつ高強度「ダブルネットワークゲル」を発見以来、どうして強くなるかについて十年近く研究を続けてきた、北海道大学のグン・チェンピン教授の研究室。そこでようやく基本概念が確立して、社会に広く応用してもらえそうな研究成果もでてきたといいます。今回は、引き続き「ダブルネットワークゲル」から発展した研究として、自己修復するゲルや産学連携で進めている人工軟骨材料の研究などをご紹介します。
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『TOKYOオリンピック物語』の著者、野地秩嘉氏の連載第12回は、引き続きブリヂストンのバリアレス縁石を紹介します。縁石開発は、これまで同社が培ってきたタイヤ開発の知見が根本にあるというブリヂストン。運転手ストレスの軽減と、乗客の乗降時間短縮を両立するバリアレス縁石は、どのようにして開発され、どのような工夫がされているのでしょうか。今回は、ブリヂストンの研究施設プルービンググラウンドだけでなく、奇しくも同じ日に普通のバスでも乗り降りを行った野地氏が、技術レガシーとなりうると感じた「バリアレス縁石」の顧客提供価値に迫ります。
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2020年9月14日、ソフトバンクグループ(以下SBG)は、半導体CPUコアベンダーのArmを400億ドルでNVIDIAに売却することで合意したと発表しました。モバイル機器のCPUコアで採用が進むArmに対しIoT端末のCPUとして有望であることから3兆円以上の投資を惜しまなかったSBGが約4年でArmを手放した理由、更にArmを手に入れたNVIDAが目指すことはなんでしょうか。この買収劇の背景を連載「半導体入門講座」の著者津田建二氏がArm、SBG、NVIDIAのそれぞれの視点で探っていきます。
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軟骨やクラゲなど自然界のゲル(gel)を、人工的に完全に再現できるまでには至りませんが、ある物性だけに特化すれば人工的なゲルの方が自然界のゲルより性能が高いといいます。例えば構造を最適化すれば軟骨を超える強度を持つゲルを人工的に作ることはできるそうです。今回は、引き続き北海道大学のグン・チェンピン教授と中島祐准教授にゲルの作り方を説明頂きつつ、研究テーマである高強度ダブルネットワークゲルの開発経緯などについて伺いました。
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年々存在感を増している大学発ベンチャー。一方、研究開発型ベンチャーの研究成果が事業化まで進めず「死の谷」で終わってしまうケースも多いといいます。この「死の谷」を越えるためには、リスクマネーの供給も重要だそうです。今回は、九州地域から新たな産業を生み出すべく、九州大学を筆頭に九州全域の大学発ベンチャーを支援する「QBファンド」に、同ファンドを設立した経緯や、大学発ベンチャーがビジネス競争のスタート台に立てるための同ファンドの役割について伺いました。
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『TOKYOオリンピック物語』の著者、野地秩嘉氏の連載第11回は、ブリヂストンからバリアレス縁石を紹介します。夏季大会は、選手や関係者を選手村から各競技会場へ運ぶバスがほぼ24時間運航するといいます。競技に遅れることはできない選手にとって、車いすに乗っても大きな荷物を持っても素早くバスに乗り降りできることは重要であるため、バリアレス縁石が採用されることになりました。今回は、タイヤのようなゴム製品で知られたブリヂストンが縁石を提供することになった経緯について、那須塩原にあるブリヂストンの研究施設プルービンググラウンドで話を伺いました。
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家電から産業機器まで幅広く使われている電子回路基板。その組み立てには、「共晶はんだ(鉛はんだ)」が使用されましたが、鉛による環境汚染やEUでの鉛使用制限の規制の影響で、現在は「鉛フリーはんだ」が主流になってきています。この「鉛フリーはんだ」は、鉛はんだより温度コントロールが難しく高い技術を要するといいます。今回は、1983年に創業以来、長年培ってきた「はんだ」によるアッセンブリ技術を持つ株式会社土佐電子に、同社がもつ「鉛フリーはんだ」技術の特徴や、ものづくりへの姿勢について伺いました。
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今まで見ることのできなかった対象や現象を「見る」ことで理解が進んだり、新しい応用分野、産業が拓けていくことも多くあります。この見える化を可能とするキーテクノロジーが「センサー」です。今回は、このセンサーに注目し、医療向けCTスキャンやX線イメージング技術などの最新センサー技術を解説します。更にセンサーのさらなる社会実装のため乗り越えるべき課題を押さえたうえで、見える化で独自の技術をもつベンチャー企業についてもご紹介します。
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半導体は“産業のコメ”とも呼ばれ、日本に始まって、世界中の経済を支えてきました。複雑な工程が必要とする高集積半導体ICですが、1960年代くらいまでは半導体メーカー1社がほぼ設計から製造まですべての工程を担ってきましたが、1970年代から分業化が進み、現在の「デザインハウス」、「ファブレス」、「ファウンドリ」などの分業体制が確立します。今回は、半導体産業の業界構造の変遷に注目し、日本企業が半導体ビジネスで没落した理由を詳しくご紹介します。
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日本人の死因の上位に入る「脳血管疾患」。多くの場合は手指に麻痺が残り日常生活への影響が大きいと言われています。この手指の動きを助けるリハビリ用装具は、手指の関節が多く骨格が複雑なため、技術的ハードルが高く実用化が難しいと言われてきました。今回は、手指の筋電を感知し動きをサポートする小型で安価なリハビリ用ロボット装具を開発している「メグウェル」に、地場企業と大学がタックを組んだ経緯など開発ストーリーを伺いました。
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コンタクトレンズや紙おむつ、豆腐、プリンなど我々の生活に密着した物質、ゲル(gel)。このように生活中に使用されているものの、人為的に作ったゲルは自然界のゲルに比べればまだまだ原始的だそうです。本連載では3回にわたり「ゲル(gel)」について、バイオミメティクス(生物模倣)の考え方をベースに様々な特徴をもつゲルをつくり我々の生活に役立てようとする北海道大学 先端生命科学研究院 先端融合科学研究部門のグン・チェンピン教授にご解説頂きます。今回は、研究テーマについて説明して頂く前に、グン先生がどのようにゲルの研究を始めたのかをお伺いしました。
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「ものづくり」の雄のトップから「ものづくり日本」再興の指針へのヒントを伺う連載第5回では、引き続きシグマの山木和人社長に、本インタビュー総括としてニューノーマルにおける日本のものづくりの展開についてお伺いました。日本のものづくり空洞化で製造業を希望する若者が減っているなかでも、「おしなべて優秀で倫理観、道徳意識も高く、ミニマリズムみたいな美的感覚も持っている日本の若者」は十二分に競争力はあるそうです。
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2020年9月9~11日に愛知県国際展示場(Aichi Sky Expo)で「第5回 名古屋ものづくりワールド2020」が開催されました。ものづくりワールドは、東京、名古屋、大阪で年に3〜4回開催され、機械部品や工場設備、計測機器などに関係する企業や団体が毎年1,000社以上出展している展示会です。今回は、板バネを使った軸継手(カップリング)のような機械部品や、バリ取りの自動化など金属・樹脂加工時の新しい技術についてご紹介します。
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アルミニウム材料は様々な形状に加工できる特徴を活かし、薄いアルミホイルから、アルミサッシのようなものから大きな部材まで存在し、建築材料、自動車、産業機械、飛行機などで用いられています。アルミニウムの加工方法には、圧延、鋳造、ダイカスト、鍛造、押出などいくつもの種類がありますが、希望の断面形状に加工できるのが押出加工です。今回は、アルミニウム製品の製造メーカーである、日軽金アクト株式会社の谷津倉政仁氏に、押出加工の基礎知識や輸送機器などの利用事例についてお伺いしました。
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人類が道具を使い始めた頃にさかのぼるとされる接着・接合技術。原油に含まれる天然のアスファルトからニカワ、漆などまで古くから接着に用いられる材料は多数ありますが、接着のメカニズム自体は、現在においても十分に解明されてはいないそうです。今回は、接着・接合技術の基本的な原理を解説しながら、軽量化、小型化、コスト低減の要求に応えることが期待される通電接合や、難接着材料をくっつけるための表面改質に注目し、接着・接合で独自の技術をもつベンチャー企業についてご紹介します。
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「ものづくり」の雄のトップから「ものづくり日本」再興の指針へのヒントを伺う連載第4回では、引き続きシグマの山木和人社長に、コロナ禍における生き残り戦略のポリシーについて詳しくお伺いました。雇い止め等雇用調整が進むなかでも「雇用を守ることが会社の経営目標の上位にある」という当社の「メイド・イン・ジャパン」のこだわり。そのこだわりはコロナ禍でも変わらず、エンジニアの提案を注視する当社ならでの製品を造っていくそうです。
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車やスマートフォン、ドローンといった様々な「最終製品」は技術進歩が非常に早い分野です。これらの分野における技術進歩のカギは、バッテリーやセンサーなど各種の部品であり、その部品を構成する材料が着目した「材料開発」が活発に行われています。今回は、材料開発が活発に行われる理由(企業側のモチベーション(動機))に加え、同分野で注目を集めるマテリアルズ・インフォマティクス(MI)の取組みやそれに関わる計算手法を解説しながら、独自の材料開発技術をもつベンチャー企業をご紹介いたします。
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新型コロナウイルス感染症への対応の中で、保健所への感染者の報告がファックス経由であるなど、日本のデジタル化の遅れが浮き彫りになった。一方で、デジタル化に対し、あらゆる人の行動がデータ化・監視されたり、自動化技術やAIで人の仕事が奪われたりといった懸念の声も小さくない。今後避けることが難しい「デジタル化時代」に、誰もが自由で豊かになる社会を実現するにはどうすればいいのか。
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2020年9月9日~11日にインテックス大阪で「第8回 関西スマートエネルギーWeek」が開催されました。東京と大阪で年に2回、再生可能エネルギーや自然エネルギー、電池、省エネ・節電、リサイクル、環境保全対策などの技術を開発・提供する企業や団体が多く出展します。今回は、電池向け溶着技術やバイオマスを使った熱利用技術に加えて、バッテリー駆動のクレーン、配管探査向け尺取虫型ロボットなどについてご紹介します。
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スマートロックや温湿度センサーなど、あらゆる分野で私たちの生活に浸透しているIoT(モノのインターネット)。一方でIoTの普及に伴い電源問題が浮き彫りになっています。身近な振動や動きで発電する振動発電がその一端を担う技術になるかもしれません。今回は、逆磁歪効果を利用した振動発電技術の基本原理(平行梁型)を発明した金沢大学の上野敏幸准教授に、電池フリーのIoTデバイス実用化に向けた振動発電技術について伺いました。
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「ものづくり」の雄のトップからニューノーマルにおける「ものづくり日本」再興の指針へのヒントを伺う本連載。第3回は、海外に工場を持たず日本で造ることにこだわりつづけている日本有数の光学機器メーカー、シグマの山木和人社長です。ものづくり現場におけるテレワークの実態や、「濃密な、協力し合う人間関係の中から最高のものを作る方が強み」という当社の生き残り戦略についてお伺いいたしました。
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2020年9月3日~4日に、神戸国際展示場(神戸ポートアイランド)で「国際フロンティア産業メッセ」が開催されました。本展示会は、ものづくり、電気・電子、ロボット、健康・医療、産学連携など、産業のあらゆるジャンルが集う産業総合展示会です。今回は、凸凹壁面も把持する真空吸着グリッパやニッケル系の抗菌めっき技術など様々なジャンルの技術についてご紹介します。
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最近よく耳にする「MaaS」ですが、民間の事業者の中ではMaaS事業を実際どうしたらいいのか悩んでいる方も多いらしいです。「マルチタスク車両」の取り組みがそのヒントになるかもしれません。今回は、用途によって車内レイアウトを変更できるMaaS向け「マルチタスク車両」を発表したMONET Technologiesに、その開発経緯や車内レイアウトの架装、次世代MaaS向け車両の要件についてお伺いいたします。
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AI開発国と聞いて真っ先に思い浮かぶのは米国かもしれませんが、そんな米国に迫る勢いで存在感を増しているのが中国です。中国は2030年までにAI技術を世界最先端のレベルにまで引き上げると発表するほか、AI応用関連の特許出願やAI人材育成に力を入れています。今回は、中国がどのようにして世界をリードするAI大国になろうとしているのか、また中国AI技術の最新動向を8つの事例でご紹介します。
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『TOKYOオリンピック物語』の著者、野地秩嘉氏の連載第10回は、引き続きセコムの警備システムを紹介します。「オリンピックの警備は恩返し」というセコム。本大会に向けて、不審者など異常を早期発見する民間警備業の視点から生まれた、上空(俯瞰)、陸上(仮設)、警備員(対人)という3つの視点から統合監視システムを開発しました。今回は、現場担当者に抜擢されたセコムの高橋哲也氏に、技術レガシーとして残っていくことが期待される「統合監視システム」の開発ストーリーをお伺いします。
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樹脂で製品を量産する場合、射出成形などで使用する金型が多く使われています。そのため製品設計者であっても、ある程度は金型のことを知る必要があり、金型の形状によってコストアップすることを避けられます。今回は、金型による射出成形において製品設計時に知っておくべき、金型が分割される境目「パーティングライン」と金型から離型できない形状「アンダーカット」について解説します。
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半導体ICの高集積度が進むにつれ、一つのチップ上に数十億個のトランジスタが集積されることになり、1個のトランジスタをみるのに肉眼どころか電子顕微鏡を使用せずにはみられない世界になりました。この微細な半導体はどのように作られるのでしょうか。今回は、半導体製造工程を、設計、製造、組立、テストの4つ工程に分けて解説していきます。
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金沢大学設計製造技術研究所でのモノづくり研究開発動向を紹介する連載第6回(最終回)では、引き続き立野大地助教にプレス加工によるCFRPの量産技術の研究開発について伺います。同研究室では、強度を保つために炭素繊維の最適な長さを検討し、金型に入れてプレス加工可能なCFRPの研究開発を行っています。今回は、CFRPの加工における課題をふまえつつ、粘土のように加工の自由度の高いCFRPの作成方法や、金型を使ってCFRPをプレス加工する際の工夫点についてご紹介します。
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鉄鋼と聞くと鉄(Fe)をイメージする方も多いと思いますが、鉄鋼は鉄を主成分とした合金で、鉄とは異なる金属材料です。強度が高く、加工性に優れるなどの特徴からものづくりには欠かせない鉄鋼。今回は、みんさく編集部が、ものづくりに携わる人が最低限知っておくべき鉄鋼の基礎、鉄と鋼の違い、特徴、種類、加工方法について簡潔に整理しました。鉄鋼を使うことになった、ものづくり現場への配属が決定したなど、鉄鋼について改めておさらいしたい方は、ぜひご一読ください。
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『TOKYOオリンピック物語』の著者、野地秩嘉氏の連載第9回は、セコムから警備システムを紹介します。夏季大会は競技数や参加選手の数が増加傾向にあることから、大会の警備に多くの大会では軍人が動員されたそうです。しかし、今回の大会では軍人が動員されることはなく、民間警備員や警察官、大会ボランティアが対応する見込みです。今回は、大規模スポーツイベントの警備経験がほぼなかったというセコムが、どのようにして警備システムの開発や大会の警備体制構築を進めていったのかご紹介します。
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私たちの生活を支える、社会インフラ機器などの部品で広く使用されている工業用クロムめっき。しかし、同めっき液に含まれる6価クロムによる廃棄後の土壌汚染や地下水汚染、健康被害の発生が報告されるなど環境や人体に有害な物質としても知られ、EUでは6価クロムの使用を制限する規制が施行されています。今回は、日立製作所 研究開発グループの兼元主任研究員と川村研究員に、このクロムめっきの代替として、クロムめっきに相当する耐食性・耐摩耗性を実現した「多層硬質ニッケルめっき技術」の特徴を解説頂くと共に、同研究成果が持続可能なモノづくりの実現にどのように貢献できるかお伺いしました。
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未来のモビリティ社会に向けて、環境負荷の低減を目的に自動車の消費ガソリンの削減や電気自動車の航続距離の伸長が重要な課題として議論されています。その中で、自動車の軽量化によってこれらの課題に貢献できるとされている炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、構造部材として実用化に至るケースも見られる一方、コストや量産性といった課題が存在しています。今回は、日立製作所 研究開発グループの近藤研究員に、「動的共有結合樹脂」に注目し生まれた熱硬化性CFRPが持つ二次加工性の特徴や、同材料を用いた自動車の軽量化へ向けた展望についてお伺いしました。
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製品開発の現場では、製品の競争力を高めるために、部品のコスト削減や軽量化が重要な課題となっており、厳しい設計条件が課せられています。このような中で、製品事故を防止し製品全体の信頼性と安全性を確保するために、設計者には迅速で正確な設計計算が求められています。今回は、株式会社日立製作所研究開発グループが提供している機械設計効率化ツール「e設計ハンドブック」の特徴や具体的な使用方法についてご紹介します。
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「ものづくり」の雄のトップから「ものづくり日本」再興の指針へのヒントを伺う連載第2回では、引き続きアルプスアルパインの栗山社長に、コロナ禍における経営戦略について伺いました。1948年に前身となる「片岡電気」として総勢23人の町工場からはじまり、従業員4万人を超えるグローバル企業に成長した当社が進めてきた「ニッチトップ」戦略。その戦略はコロナという逆境でも、変わりません。
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ITの3大要素となる「コンピュータと通信と半導体」。1980年代半導体メモリが急速に進化しているなか、「通信」ではまだ黒電話のアナログ回線が主力でした。その音声通信を高速のデジタル通信へと牽引したのは、デジタル電話である携帯電話や急速に普及したインターネットでした。今回は、通信トレンドと半導体の関わりに加え、IoTや自律化などが注目される将来の「ITメガトレンド」時代における半導体の役割についてご紹介します。
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地域のモノづくり技術を活かし、新たなオープン・イノベーションを模索する金沢大学 設計製造技術研究所でのモノづくり研究開発動向を紹介している本連載。第5回は、熱可塑性CFRP(炭素繊維強化プラスチック)の量産技術に注目し、プレス加工によるCFRPの量産技術を研究している立野大地助教に、CFRPが量産品でなかなか使われない理由に加え、CFRPを金属のように加工するため強度の方向性を均一化する研究内容についてお伺いしました。
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新型コロナウィルスは世界に感染を広げ、経済、社会に大きな影響を与えています。グローバル化が進む製造業のサプライチェーンを寸断、日本の経済を支えてきた製造業もその洗礼を受けています。本連載では、ニューノーマルにおける「ものづくり」の雄のトップから「ものづくり日本」再興の指針へのヒントを伺います。
第1回は、電子部品事業と車載情報事業を中核にすえ、世界展開するアルプスアルパインの栗山年弘社長です。コロナ禍におけるものづくりや、見通しや経営戦略、テレワーク実態についてお伺いしました。
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今では個人に一台の「パソコン」があるのが普通ですが、パソコンが普及する前は数億円もするメインフレーム「コンピュータ」が大企業に1台しかない時代がありました。当時の国内パソコンメーカーは、ハイエンド技術に磨きをかけることだけを一所懸命で1990年代はじめまでメインフレーム向けDRAM市場で日本半導体が活躍しましたが、米国を中心に世界でダウンサイジングが進んでいることに注意を払ってきませんでした。今回は、ダウンサイジング化が進んだ背景と流れ、日本のメーカーたちがその流れに乗れなかった理由についてご説明します。
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金沢大学設計製造技術研究所でのモノづくり研究開発動向を紹介する連載第4回では、引き続き古本達明教授に高精度化に向けた金属AM(金属3Dプリンター)の研究開発について伺います。同研究では、高速度カメラ用いて金属AM造形時のスパッタやヒュームの発生などを可視化することで、その発生要因を探っています。今回は、高速度カメラによる可視化の特徴をはじめ、造形と切削を交互に繰り返す技術を用いた水管の高精度金型加工の実例をご紹介します。
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車椅子が必要な障がい者が、ベッドから車椅子に乗るという一瞬の動作は、障がい者の全体重を支え立ち上がらせるなど介助者に身体的負担になっているそうです。今回は、様々なロボット開発の実績を持ち、障がい者が一人でも前傾姿勢で乗り込んで日常生活しやすい乗り物を開発した株式会社テムザックに、ユニバーサルなビークルの開発ストーリーだけでなく、将来のスマートモビリティとしての可能性まで伺いました。